先日厚生労働省から、介護保険料の推計が2023年度は平均で1人当たり月6,216円になると発表されました。
共同通信さんの記事ではこのように書かれています。
前年度から111円増加する見通し。高齢化の進行により、介護サービスの利用者が増加しており、過去最高の更新が続いている。制度を開始した00年度は月2075円で、3倍近く膨らんだ。
共同通信社より引用
この話を職場でしたところ、ちょっと意外な展開となりました。
それは「そもそも介護保険ってなんだっけ?」となったのです。
確かにぼくもFP2級の試験勉強をするまでは、給与明細書に「介護保険料」と書かれているのは知っていましたが、どんな保険で、どんな補償が受けられるものなのかはよくわかっていませんでした。
そこで今回は、加入が義務付けられている『公的介護保険』についてご説明します。
- 40歳から生存している限り支払い義務が生じる
- 自己負担額1割〜3割で介護サービスを利用できる
- 40歳から64歳までの介護保険料は所得金額と、加入している健康保険によって金額が変わってくる
- 65歳からの介護保険料は3年に一度見直される
公的介護保険とは?
介護保険制度について、厚生労働省のサイトでは下記のように書かれています。
介護保険制度は、高齢化や核家族化の進行、介護離職問題などを背景に、介護を社会全体で支えることを目的として2000年に創設されました。現在では、約674万人の方が要介護(要支援)認定を受け、介護を必要とする高齢者を支える制度として定着しています。
厚生労働省より引用
噛み砕いて言ってしまうと、「超高齢社会となった日本では介護サービスを受ける人が多いので、みんなで助け合いましょう」ということです。
どんな人が対象となるの?
公的介護保険は40歳から自動加入(つまりは強制的に加入)されます。
- 会社員であれば、社会保険料と同じく労使折半(会社と個人で半分づつ)での支払い
- 自営業者、個人事業主であれば、国民健康保険料に上乗せ【※1】されて支払い
- 年金受給年齢(65歳)になると、年金から天引き(自動で引き落としされる)での支払い【※2】
※1 40歳になった初年度だけは、介護保険料だけの納付書が後から送付されてきますのでご注意下さい
※2 年金を繰り下げ受給(65歳より前に年金をもらう)した場合や、年金受給額が年間18万円未満の場合には、年金からの天引きではなく、普通徴収(納入通知書が送られてきて、口座振替もしくは役所やコンビニなどで支払う)となります。
どんな時に使える保険なの?
40歳から64歳の人は、老化が原因で介護が必要な状態と認められれば介護保険を使うことができます。
65歳以上の人は、介護が必要になった原因が老化でなくても、介護または支援が必要な状態と認定されたら利用できます。
それと健康保険の高額療養費と同じように、同じ月に利用した介護サービスの合計金額が、上限【※3】を超えた部分については払い戻されるという制度もあります。
※3 介護サービス料の負担上限額は、ご自身だけでなく同じ世帯(一緒に住んでいる人)の人の所得や課税状況によって変わってきます
介護保険料はどうやって決まるの?
40歳から64歳までの人は『標準報酬月額』という小難しい言葉を元に計算されていますが、難しいことは抜きにしてざっくり答えてしまうと、所得金額(給与など)を元に計算されるってことです。
厳密には所得金額だけではなく、加入している健康保険によっても多少の違いは出てきます。
健康保険料の金額と同じように計算されているって覚えておけば大丈夫です。
65歳以上の方は、所属する自治体によって(住んでいる場所によって)介護保険料が決められます。
なぜ介護保険料が年々高くなってきているのか?
介護保険料は3年に1度見直されていますが、この金額は65歳以上の人が支払う介護保険料のことです。
40歳以上64歳未満の方は、所得金額を元に介護保険料が計算されるとお伝えしましたが、この所得に対しての介護保険料率が上昇しているため、介護保険料が年々高くなってきているのです。
協会けんぽの介護保険料率は、下記を見てもわかる通り、年々上昇しています。
令和5年3月分(5月1日納付期限分)から 1.82%
令和4年3月分(5月2日納付期限分)から 1.64%
令和3年3月分(4月30日納付期限分)から 1.80%
令和2年3月分(4月30日納付期限分)から 1.79%
平成31年3月分(5月7日納付期限分)から 1.73%
全国健康保険協会より引用
言わずもがなですが、介護保険料が上昇している理由は高齢化がどんどんと進み、それに伴って介護サービスを利用している人も増えているからです。
まとめ
介護保険料は所得や加入している保険、または住んでいる場所によって変わってくるので、厚生労働省からの発表も「平均して」という言葉が使われていますね。
日本は『日本皆保険制度(にほんかいほけんせいど)』といって保険への加入を法律で義務化しているため、「おれは介護保険を使わない!」と言ってみたところで、介護保険料は支払わなければならないのです。
だからこそ内容をしっかり理解し、利用できる時には正々堂々と利用するのが賢い生き方だと思いますがいかがでしょうか。
それにしても現在超高齢社会となった日本では、介護保険料もどこまで高くなってしまうんでしょうね?
そう遠くない未来に、介護保険料の支払い開始年齢が引き下げられるような気もします。
先行きの見えない社会ですが、一緒にお金の勉強をして乗り越えていきましょう!
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。